近年、多くのグローバル企業がケージフリー鶏卵の調達方針を導入していることをご存知でしょうか。多くの世界中に展開する企業が、グローバルサプライチェーンで使用する鶏卵を100%ケージフリーの飼育方法に切り替えることを目標に掲げ、毎年その進捗状況を報告しています。このケージフリーへの動きは世界的な注目を集め、グローバル企業の将来のビジネスに大きな影響を及ぼす要素となっています。
鶏卵生産者は鶏の飼育に様々な方法を用いますが、その中でもケージフリー(平飼い)はアニマルウェルフェアの向上において最も優れた方法の1つとして長年認められてきました。数多くの研究によってケージフリーの飼育方法は、鶏が自然な行動をとる機会を増やし、ストレスの軽減や疾病・怪我のリスクの低減に貢献していると証明されています。要するに、ケージフリーの導入が鶏卵産業において望ましい方向性であることが示されています。
実際、欧州連合(EU)や英国では、法的にバタリーケージと呼ばれるケージ飼育が2012年から禁止されています。また、スイス、オーストリア、ドイツ、アメリカの一部州などでも全てのケージ飼育方法の使用が禁止されており、ケージフリーが世界的な基準となりつつあります。
この動きは卵と卵を含む製品を調達している企業にも波及しています。特定の地域の中小企業だけでなく、多国籍企業の食品業界、飲食業界、ホスピタリティ業界もケージフリーの導入に取り組み、その進捗状況を報告しています。実際に、グローバル企業の中にはサプライチェーンに使用する卵を100%ケージフリーに切り替えることを公約している企業が150社以上存在しています。
ケージフリーを公約している多国籍企業
どのような多国籍企業がケージフリーを公約しているでしょうか。例として以下にいくつかの大手企業の公約をご紹介します。
- 大手食品メーカー「ネスレ」は2017年に、2025年までに鶏卵の調達を100%ケージフリーに移行すると宣言し、その宣言はアジアや日本を含めビジネスを展開している全地域を対象としています。宣言は以下となります:
「ネスレは、2025年までに使用するすべての製品について、ケージフリーの鶏の卵のみを使用する目標を設定しました。これには、ネスレ製品の原料として直接供給されるすべての卵と卵製品が含まれます。
欧米では、この変更を2020年末までに、残りのアメリカ地域及び中東、アフリカ、オセアニアでは2025年までの完了を目指します。アジアにおいては条件の許す限り同じ移行期間中に実施する予定です。」
- 世界的なホテル企業のリーダー「ヒルトン」は2019年に、2025年までに使用する卵を100%ケージフリーに移行すると宣言し、 その宣言はアジアや日本を含めビジネスを展開している全地域を対象としています。宣言は以下となります:
「ヒルトンは、この度、業界内でケージフリー卵調達にコミットしている企業に参画できることを嬉しく思います。2025年度末までにヒルトンのグローバル・ブランド・ポートフォリオ*全てに使う卵(殻付き、液卵、 および卵製品)の調達を100% ケージフリー卵 (ケージ使用しない飼育)ことに正式に決定しまし た。また、ケージフリー卵に関する方針を主な言語に翻訳し、これからの進捗状況を毎年公開します。*所有、運営、フランチャイズ含む」
- グローバルフードサービス会社「コンパス・グループ」は2022年に、2025年までに使用する卵を100%ケージフリーに切り替えると宣言し、 その宣言はアジアや日本を含めビジネスを展開している全地域を対象としています。宣言は以下となります:
「私たちのグローバルコミットメント:2025年までに殻付き卵と液卵の100
%をケージフリーエッグとします」
- ケンタッキーフライドチキン、ピザハットやタコベルを運営している外食業界のリーダー「Yum!・ヤム!」は2021年に、2030年までに、使用する卵を100%ケージフリーに切り替えると宣言し、 その宣言はアジアや日本を含めビジネスを展開している全地域を対象としています。宣言は以下となります:
「Globally, we will work with our suppliers and key partners to increase the availability of cage-free egg sources to transition to 100% cage-free by 2030.
日本語訳:2030年までに100%ケージフリーの卵に移行するため、サプライヤーや主要パートナーと協力し、ケージフリー卵の調達先を増やしていきます。」
–Yum!
上記の4つの多国籍企業がグローバルサプライチェーンの卵の調達を全てケージフリーに切り替えると公約しており進捗報告なども定期的に行っています。これらの企業の先進的な動きに倣って、他のグローバル企業が次々とケージフリー宣言とアニマルウェルフェアの向上を目指しています。
ステークホルダーとケージフリーについて
グローバル企業がケージフリーに切り替えると、どのような反応があるでしょうか。ステークホルダーはケージフリーについてどのような意見を持っているでしょうか。多くの国では一般的な消費者が鶏卵が生産された環境や鶏のアニマルウェルフェアに関心があるという調査結果があります。
例えば、2023年に三菱UFJのリサーチ&コンサルティングが発表した消費者の食品の購入意向の調査結果では、40%以上の日本の回答者がアニマルウェルフェアに配慮した卵の値上がりを受け入れるということがわかりました。続いてアジアの国々を確認しますと、台湾の調査によると約95%の調査回答者が動物福祉を配慮した卵の5%の値上げを容認しています。
また、アジア、欧米、アフリカと南米の消費者の購入意向についての調査では、タイでは、68.6%の調査回答者はケージフリー卵を購入することを好むという調査結果もあります。 欧米では、英国の約90.2%の消費者がケージフリー卵を購入することを好み、米国では約77.7%の回答者も同様の回答がありました。続いて、すでにケージフリーの意識が高いと考えられていますが、南米でもケージフリーに関心があります。同じ質問に対してケージフリー飼育で生産された卵を好むブラジルの回答者は92.1%となり、ケージフリーを好むチリの回答者が94.1%です。
例としていくつかの国をご紹介しましたが、世界的な観点から見ても、ケージフリーへの関心は高まっており、欧米諸国やアジア諸国でも同様の傾向が見られます。
また、投資家の視点からも企業のアニマルウェルフェアへの取り組みは重要な要素となっています。ESG(環境、社会、ガバナンス)投資の増加に伴い、企業の社会的責任や持続可能性への取り組みが投資家による評価に影響を与える時代となっています。アニマルウェルフェアへの配慮が不足している企業は、リスクを抱える可能性があります。
ケージフリー卵の調達への移行は、アニマルウェルフェアの向上だけでなく、企業の評判向上やESG投資へのアピールにも繋がる重要な戦略と言えます。企業がケージフリーに切り替えることで、社会的な期待に応えるとともに、競争力の向上や持続可能なビジネス展開にも貢献できます。
マーシー・フォー・アニマルズでは、企業のケージフリーへの移行に関するサポートを提供しています。ケージフリーの導入に興味をお持ちの企業様は、以下のメールアドレスまでお気軽にご連絡ください。